爽 屋

作詞家・吉里爽のルーツである音楽、書籍、その他諸々をご紹介していきます。 キーワードは「大人向き」。

2001/01/20(Sat) 20:03
サヨナライツカ
辻 仁成
434440257X

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


不覚にも、読むたびに泣いてしまう。
この1編の物語が自分にとってリアルで大切なものになった
理由は何だろう?
読むたびに自分に問い掛けるのだが、いざ言葉にしようとすると
なかなか筆が進まない。

葉隠の表現を借りるならば、結果的には
「思って、思って、思い死に」するヒロイン・沓子。
死を間近に迎えている彼女に対峙して初めて、
心からの「愛している」という言葉を告げる豊。
愛に生きられたヒロインとそうはできなかった
主人公の生き方があざやかに対比をなすシーンでもある。

若かりし頃のアバンチュールのような恋。
平和な家庭生活と企業人としての成功の中で、
主人公が忘れていたはずのそれは、きっと彼にとっても
純度の高さから言えば生涯一度の恋だったに違いない。

人間の心というのは複雑なもので、それはきっと
幾重にも渡る階層を成しているように思うことがある。
つまり、自分が「本心」と思っている気持ちの遥か奥の方に、
いや下の方に「本当の本心」が隠れていたりするものだ。
そして、その「本当の本心」に気づかないまま、
人は生きていることもあるから不思議だ。
本編では、運命に導かれるように四半世紀の時を越えて
豊と沓子は再会する。
そして、お互いの思いを確認し合う。
積年の思いを告げて彼の言葉を聞けた沓子は幸せだったろう。
そして、彼女の前で「本当の本心」に忠実になれた豊もまた。

ある意味でハッピーエンドのラヴストーリーである。

にほんブログ村 ポータルブログへ

コメント









ブログ管理人にのみ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL
http://sowya.blog37.fc2.com/tb.php/9-40c006bd

profile

吉里爽

Author:吉里爽
作詞家。
プロデューサー。
スイッチヒッターの二塁手。
音楽事務所「株式会社 爽」代表。

自分史を書くようなつもりで、
自らのルーツを探っていきます。


recent entries

recent comments

recent trackbax

category

monthly archives

come on, baby !

このブログをリンクに追加する

RSS feed