2001/01/20(Sat) 20:03
サヨナライツカ
辻 仁成

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不覚にも、読むたびに泣いてしまう。
この1編の物語が自分にとってリアルで大切なものになった
理由は何だろう?
読むたびに自分に問い掛けるのだが、いざ言葉にしようとすると
なかなか筆が進まない。
葉隠の表現を借りるならば、結果的には
「思って、思って、思い死に」するヒロイン・沓子。
死を間近に迎えている彼女に対峙して初めて、
心からの「愛している」という言葉を告げる豊。
愛に生きられたヒロインとそうはできなかった
主人公の生き方があざやかに対比をなすシーンでもある。
若かりし頃のアバンチュールのような恋。
平和な家庭生活と企業人としての成功の中で、
主人公が忘れていたはずのそれは、きっと彼にとっても
純度の高さから言えば生涯一度の恋だったに違いない。
人間の心というのは複雑なもので、それはきっと
幾重にも渡る階層を成しているように思うことがある。
つまり、自分が「本心」と思っている気持ちの遥か奥の方に、
いや下の方に「本当の本心」が隠れていたりするものだ。
そして、その「本当の本心」に気づかないまま、
人は生きていることもあるから不思議だ。
本編では、運命に導かれるように四半世紀の時を越えて
豊と沓子は再会する。
そして、お互いの思いを確認し合う。
積年の思いを告げて彼の言葉を聞けた沓子は幸せだったろう。
そして、彼女の前で「本当の本心」に忠実になれた豊もまた。
ある意味でハッピーエンドのラヴストーリーである。

辻 仁成

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不覚にも、読むたびに泣いてしまう。
この1編の物語が自分にとってリアルで大切なものになった
理由は何だろう?
読むたびに自分に問い掛けるのだが、いざ言葉にしようとすると
なかなか筆が進まない。
葉隠の表現を借りるならば、結果的には
「思って、思って、思い死に」するヒロイン・沓子。
死を間近に迎えている彼女に対峙して初めて、
心からの「愛している」という言葉を告げる豊。
愛に生きられたヒロインとそうはできなかった
主人公の生き方があざやかに対比をなすシーンでもある。
若かりし頃のアバンチュールのような恋。
平和な家庭生活と企業人としての成功の中で、
主人公が忘れていたはずのそれは、きっと彼にとっても
純度の高さから言えば生涯一度の恋だったに違いない。
人間の心というのは複雑なもので、それはきっと
幾重にも渡る階層を成しているように思うことがある。
つまり、自分が「本心」と思っている気持ちの遥か奥の方に、
いや下の方に「本当の本心」が隠れていたりするものだ。
そして、その「本当の本心」に気づかないまま、
人は生きていることもあるから不思議だ。
本編では、運命に導かれるように四半世紀の時を越えて
豊と沓子は再会する。
そして、お互いの思いを確認し合う。
積年の思いを告げて彼の言葉を聞けた沓子は幸せだったろう。
そして、彼女の前で「本当の本心」に忠実になれた豊もまた。
ある意味でハッピーエンドのラヴストーリーである。
