1983/07/21(Thu) 12:28
闇に吠える街(紙ジャケット仕様)
ブルース・スプリングスティーン

01. Badlands
02. Adam Raised a Cain
03. Something in the Night
04. Candy's Room
05. Racing in the Streets
06. Promised Land
07. Factory
08. Streets of Fire
09. Prove It All Night
10. Darkness on the Edge of Town
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(Released on 19780622)
前作の‘ Born to Run ’を「光」に例えるなら、
このアルバムは邦題通りの「闇」に例えられるのかもしれない。
前作までの3作を「ストリートライフ3部作」とすると、
このアルバムを起点としてアメリカの現実と対峙する作品が
多くなっていく気がする。
その意味では、彼のソングライターとの「視点」が成熟し始めた
原点とも言えるアルバムだ。
「夢と挫折」、「労働」、「親子の絆」、「人生の不条理」と言った、
以降の彼の作品に繰り返し登場する普遍的なテーマが、
ストレートな歌詞と演奏、まっすぐな歌唱によって提示されている。
私的な思い出を語るならば、ライヴの定番でもある01, 06., は、
ある時期の吉里爽にとってはクリスチャンにとってのゴスペルのように、
有り体に言えば応援歌として精神的な救済となったことをまざまざと
記憶している。
数多の人間が自分に問いかけるであろう「人生の意味」を
路上のレースに興じる若者たちに託して炎々と描いた05.,
疾走感あふれる苛烈なラヴソングの09.,
生きることの不条理とそれに立ち向かう意志を示した 10., など、
収録曲のどれもがヘビーである。
「踊れて楽しめて女が口説ける」ロックをお求めの方には
おすすめしないが、多感な時代にこのアルバムを骨の随まで
味わえたことをありがたく思えるような、真摯なマスターピースだ。
1982/09/20(Mon) 09:32
![]() | ネブラスカ(紙ジャケット仕様) ブルース・スプリングスティーン Sony Music Direct 2005-06-22 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
01. ネブラスカ
02. アトランティック・シティ
03. マンション・オン・ザ・ヒル
04. ジョニー99
05. ハイウェイ・パトロールマン
06. ステイト・トルーパー
07. ユーズド・カー
08. オープン・オール・ナイト
09. 僕の父の家
10. 生きる理由
親友から譲り受けた Bruce Springsteen の直筆サイン入りの
このアルバムのLPレコードが、部屋に飾ってある。
吉里爽がリアルタイムで聴いた、最初の Bruce Springsteen のアルバム。
リリース当時、ティアックのMTRで録音した弾き語りのデモテープを
そのままリリースしたということが賛否両論を巻き起こした記憶がある。
後から伝え聞くところによると、‘ Born in The U.S.A. ’と同時期に
レコーディングされていたらしい。
アコースティックギターとハーモニカ以外の楽器は入っておらず、
飾り気のない歌の骨格だけがリスナーに提示される。
無駄のない表現で淡々と描かれる歌詞の世界は、精緻な筆致で描かれた
水墨画を思わせる。
これ以降の彼のソングライティングに一貫して存在する「視点」が
このアルバムで露見しているように思えてならない。
アルバムを通してテーマとなっているのは、どうしようもない現実と
それに対峙する普通の人たち。
「連続殺人に罪の呵責を感じない殺人犯」
「どん詰まりの状況の中でかすかな希望にすがって駆け落ちする男」
「幼い頃の父との思い出」
「罪を犯した兄をあえて見逃す警察官の弟」etc・・・
おそらくは、商業主義のポップミュージックが「商売にならない」
という理由で取り上げないテーマばかりだ。
スプリングスティーンの場合、常に「アメリカの」という形容詞が
ついてまわるが、ここに描かれていることは世界のあちこちで
起こりうる・・・、いや、現実に起こっていることだと思う。
彼のソングライターとしての拠り所、テーマはどこにあるのかを
示すと共に、本来の歌の力とはアレンジの巧拙とは別のところに
あることを示したアルバムと言えるだろう。
ちなみに、自分のお気に入りは、後にバンドアレンジでも歌われた02.
貧富の格差を嘆くでもなく淡々と描いた 03. である。
余計なお世話かもしれないが、シンガーソングライターを名乗る人、
目指す人たち、いや、既存の音楽業界で働いている人たちにも
(まだ聴いたことがないのであれば)一度は聴いてほしいアルバムだ。

1982/02/24(Wed) 10:33
明日なき暴走(紙ジャケット仕様)
ブルース・スプリングスティーン

01. Thunder Road
02. Tenth Avenue Freeze-Out
03. Night
04. Backstreets
05. Born to Run
06. She's The One
07. Meeting Across The River
08. Jungleland
(Released in 1975)
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アメリカの THE BOSS こと、Bruce Springsteen の
75年リリースのサードアルバム。
「吉里爽の人生を狂わせたアルバムシリーズ」の3枚目は、
これだ。
高校生当時、ボロボロになるまで読み込んだ
「ローリングストーン・レコード」でこのアルバムの存在を知り、
購入。
購入してから1年くらいは朝から晩までこのアルバムを聴いて、
その中で暮らしていたような覚えがある。
新宿区大久保3丁目で暮らすティーンエイジャーには
このアルバムで歌われていることすべてが真実であり
日々のBGMであり、また信じることができる某かの光であった。
もっと言うなら、この時期の自分のサントラ盤であったとも言える。
今思えば、このアルバムこそが吉里爽が隅から隅まで英語の歌詞を
覚えた、最初の洋楽アルバムではなかったか。
そして、このアルバムから立ちのぼるロックンロールと言う名の魔法が、
いや麻薬が吉里爽の魂を蹂躙し、解放し、宇宙の果てまでぶっ飛ばし、
挙げ句の果てには‘ Born to Run(生まれついてのかっ飛び)’という
タトゥーを心の奥底に刻んだのだった。
名作の誉れ高いこのアルバムは、彼のバックバンドである
The E Street Band の中心メンバーがバックを固め、
共同プロデューサーには「ロックンロールの未来」と御大を名づけた
張本人であるジョン・ランドーを迎えている。
ジャケット写真に写っているギターのストラップに付いている
バッジは、おそらく彼が敬愛するエルヴィスの顏写真だろう。
1曲目の♪Thunder Road で「勝つために敗残者たちの街を出る」
と勇んだ少年は2曲目の♪Tenth Avenue Freeze-Out で
10番街へと繰り出し、3曲目の♪Night の中で夜の精に心を解放し、
4曲目の♪Backstreetsでは挫折の涙を流す。
(LPでは、ここまでがA面だ。)
5曲目の♪Born to Run では生きる喜びを享受することへの祈りと
賛歌が情熱的に歌われ、6曲目のShe's The One(彼女でなけりゃ)
では恋の熱情がジャングルビートに乗せて解き放たれる。
7曲目の♪Meeting Across The River で川向こうで起こるはずの
秘め事に心ときめかせた主人公は、ラストナンバーの♪Jungleland で
種々雑多な人々がうごめく大都会で自らの居場所を探しあぐねて
途方に暮れてしまう。
捨て曲は1曲もなく、すべての曲が有機的に絡み合い引き立て合い
補完し合う、濃密なコンセプトアルバムである。
音楽的には、スプリングスティーンが青春時代に吸収してきた50s の
ロックンロール、ロカビリー、60s のブリティッシュ・インヴェンション、
スタックス、モータウンなどのソウル、R & B などが充分に咀嚼され、
親しみやすいメロディと絶妙なアレンジメントとして結晶化している。
余談になるが、かつてキャロルがヒットさせた矢沢永吉さん作曲による
ロックンロールナンバー♪ファンキー・モンキー・ベイビーが、
スプリングスティーンの盟友・ビッグマンことクラレンス・クレモンズの
ソロアルバムでカヴァーされていることをご存じだろうか?
そして、スプリングスティーンと矢沢永吉さんは共に1949年の9月生まれで
誕生日もわずか10日ほどしか違わず、2人ともバンドメンバーや
スタッフからBOSS !と呼ばれてリスペクトされている。
ロックが細分化され求心力を失いつつあった70年代半ばにこのアルバムで
そのダイナミズムを高らかに表出させたスプリングスティーンと、
ロック不毛の地であった日本において道なき道をトラベリン・バスで
往きながらロックンロールを体現し続けてきた矢沢永吉さんが、
ほとんど同時期にこの世に生を受け、同じニックネームを持つことに
驚きの念を禁じ得ない。
閑話休題。
「あのアルバム(制作)は、俺のすべてを食い尽くした」と後に語ったと
伝え聞いたが、まさにアーティスト生命の何分の一かを注ぎ込んだと
思わせるほどの労作であり、過不足ない演出とキャスティングで
仕上がった1編の上質な映画のように、いつまでもそして今でも胸に残る
傑作だ。
人生でもっとも多感な時期にこのアルバムと出会えたことの幸せを
しみじみと噛みしめたい。
ロックが好きなら、ロックンロールを語るなら、マスト・バイ!である。

ブルース・スプリングスティーン

01. Thunder Road
02. Tenth Avenue Freeze-Out
03. Night
04. Backstreets
05. Born to Run
06. She's The One
07. Meeting Across The River
08. Jungleland
(Released in 1975)
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アメリカの THE BOSS こと、Bruce Springsteen の
75年リリースのサードアルバム。
「吉里爽の人生を狂わせたアルバムシリーズ」の3枚目は、
これだ。
高校生当時、ボロボロになるまで読み込んだ
「ローリングストーン・レコード」でこのアルバムの存在を知り、
購入。
購入してから1年くらいは朝から晩までこのアルバムを聴いて、
その中で暮らしていたような覚えがある。
新宿区大久保3丁目で暮らすティーンエイジャーには
このアルバムで歌われていることすべてが真実であり
日々のBGMであり、また信じることができる某かの光であった。
もっと言うなら、この時期の自分のサントラ盤であったとも言える。
今思えば、このアルバムこそが吉里爽が隅から隅まで英語の歌詞を
覚えた、最初の洋楽アルバムではなかったか。
そして、このアルバムから立ちのぼるロックンロールと言う名の魔法が、
いや麻薬が吉里爽の魂を蹂躙し、解放し、宇宙の果てまでぶっ飛ばし、
挙げ句の果てには‘ Born to Run(生まれついてのかっ飛び)’という
タトゥーを心の奥底に刻んだのだった。
名作の誉れ高いこのアルバムは、彼のバックバンドである
The E Street Band の中心メンバーがバックを固め、
共同プロデューサーには「ロックンロールの未来」と御大を名づけた
張本人であるジョン・ランドーを迎えている。
ジャケット写真に写っているギターのストラップに付いている
バッジは、おそらく彼が敬愛するエルヴィスの顏写真だろう。
1曲目の♪Thunder Road で「勝つために敗残者たちの街を出る」
と勇んだ少年は2曲目の♪Tenth Avenue Freeze-Out で
10番街へと繰り出し、3曲目の♪Night の中で夜の精に心を解放し、
4曲目の♪Backstreetsでは挫折の涙を流す。
(LPでは、ここまでがA面だ。)
5曲目の♪Born to Run では生きる喜びを享受することへの祈りと
賛歌が情熱的に歌われ、6曲目のShe's The One(彼女でなけりゃ)
では恋の熱情がジャングルビートに乗せて解き放たれる。
7曲目の♪Meeting Across The River で川向こうで起こるはずの
秘め事に心ときめかせた主人公は、ラストナンバーの♪Jungleland で
種々雑多な人々がうごめく大都会で自らの居場所を探しあぐねて
途方に暮れてしまう。
捨て曲は1曲もなく、すべての曲が有機的に絡み合い引き立て合い
補完し合う、濃密なコンセプトアルバムである。
音楽的には、スプリングスティーンが青春時代に吸収してきた50s の
ロックンロール、ロカビリー、60s のブリティッシュ・インヴェンション、
スタックス、モータウンなどのソウル、R & B などが充分に咀嚼され、
親しみやすいメロディと絶妙なアレンジメントとして結晶化している。
余談になるが、かつてキャロルがヒットさせた矢沢永吉さん作曲による
ロックンロールナンバー♪ファンキー・モンキー・ベイビーが、
スプリングスティーンの盟友・ビッグマンことクラレンス・クレモンズの
ソロアルバムでカヴァーされていることをご存じだろうか?
そして、スプリングスティーンと矢沢永吉さんは共に1949年の9月生まれで
誕生日もわずか10日ほどしか違わず、2人ともバンドメンバーや
スタッフからBOSS !と呼ばれてリスペクトされている。
ロックが細分化され求心力を失いつつあった70年代半ばにこのアルバムで
そのダイナミズムを高らかに表出させたスプリングスティーンと、
ロック不毛の地であった日本において道なき道をトラベリン・バスで
往きながらロックンロールを体現し続けてきた矢沢永吉さんが、
ほとんど同時期にこの世に生を受け、同じニックネームを持つことに
驚きの念を禁じ得ない。
閑話休題。
「あのアルバム(制作)は、俺のすべてを食い尽くした」と後に語ったと
伝え聞いたが、まさにアーティスト生命の何分の一かを注ぎ込んだと
思わせるほどの労作であり、過不足ない演出とキャスティングで
仕上がった1編の上質な映画のように、いつまでもそして今でも胸に残る
傑作だ。
人生でもっとも多感な時期にこのアルバムと出会えたことの幸せを
しみじみと噛みしめたい。
ロックが好きなら、ロックンロールを語るなら、マスト・バイ!である。

